楽器を弾く意味

先日あるヴァイオリニストの方との話で出てきたことなのですが。
レッスンの際いろいろ注意をした後に生徒さんに聞いたそうです。

『なんで君はヴァイオリンを弾いているんだ?』

私の母校の実技を教えている先生であるこの方。時々教育についてのお話をさせていただくのですが…。
私の場合導入教育ですので子供が中心。そうなると習い事は自分のはっきりとした意思というよりも半分以上は親御さんの気持ちからというのがほとんど。
しかし音大・音高の生徒ともなると自分の意思で弾いていると私は思っていました。そう話しますとその先生は

『いや、惰性が多いよ』

なんとなく或いは親の意思で音教に入り、そのまま楽器を選び習い、何の疑問も持たずそのまま音高に入って…というパターンがほとんどだと。
さすがに驚きました。最終的に自分の意思を確認して音高・音大にきているわけではない生徒さんが多いとは。

私自身この道を選ぶ時かなり迷いました。何よりも手が小さい。体も小さい。そして音教にて切磋琢磨しているわけではない。なので果たして大丈夫なのだろうかと。そして本当に私にこの道があっているのだろうか、自分がこれを一生の仕事とした時に悔いは残らないか。しかし結局この道を自分で選び今に至っています。

先ほどの問いに生徒さんは答えられたのですかと先生に尋ねますと

『もちろん答えられないよ』

コンクールを受けたいというところから始まった話だそうですが、なぜコンクールを受けたいかということの前に、まず自分がなぜヴァイオリンを弾いているかという答えがないそうで…そういう生徒を相手に教えている先生がなんとなく気の毒になってしまいました。

楽器を弾けるのは楽しいです。楽しいだけで済むのはアマチュアのみ。専門家である私たちはその楽器の前に音楽がまずあるという事を分かっていなければなりません。楽器は音楽を表現する手段である事を。
その専門家を目指すための音高・音大の生徒さんがその事を分からず、それ以前になぜ今自分が楽器を手にしているかを分からないというのは、同じ教育者として非常に悲しい事だと思います。

音楽はそれを奏でる者の意思によって成り立つ芸術。音はその人の心の声であり、強さはその人の音楽を思う心の強さ。それには『弾く意味』を持たずして楽器を弾く事はありえません。その事を導入の段階できちんと教えていかなくてはいけない…それが私たち初期教育に携わる者にとって大変重要な事と考えます。












































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